英会話 マンツーマンが支持される理由
この覚書を受けて、日本の証券取引法の一八九条(最初は一八四条の二であったが、改正に伴い、条文の番号が動いた)に、外国の証券取引規制当局への情報提供の規定か置かれた。
だが、気になる点がある。
外国の当局から、この意味での調査につき情報提供の要請(共助の要請)があったとき、日本側は、同様の要請を日本か行なった場合に、その外国も日本側の要請に応じてくれる保証(レシプロシティ)があり、かつ、右要請に応ずることか日本の資本市場に重大な悪影響を及ぼしたり。
ロ本の利益を害するおそれがなければ、それに応ずる。
とある。
だが、日本に所在するある者に関する情報が例えばアメリカに渡された場合の、その者の保護について、次のようなことで十分かが、問題となるはずだ。
と私は考える。
即ち、外国側に提供された情報につき。
「その内容か外国における刑事事件の捜査に使用されないよう適切な措置がとられなければならない」との法律の規定で。
果たして十分と言えるか、の点いわゆる証券不祥事の際のSECの調査とアメリカでの刑事訴追アメリカの証券取引規制において、行政庁の一翼を担う(行政委員会としての)SECは、種々の行政処分を担当し、刑事訴追は司法省の担当となる。
数年前の、いわゆる証券不祥事の際。
それが殆ど全く日本の純粋に国内の問題であったにもかかわらず、SECは日本の主要証券四社に対して、直接、日本にある情報を出せ、と命していた(既述)。
その段階では、大蔵省証券局・SEC間の前記覚書が既に存在していた。
だが.SECは自国法に基づく一方的措置に頼った。
その点にも注意を要する。
だが、それにも増して重要なのは、右の一方的な情報提供命令(最初はお願いベースでの要求であり、のちに強制的なものに切り換えられた)において、提出された情報がしばしば刑事訴追に用いられる旨、はじめからその書類に印刷されていたことである。
つまり、日米の行政当局間で。
日本からアメリカに渡った情報が、アメリカの刑事訴追に用いられ得ることは。
アメリカ側の実務においては、初めから予定されている。
なのに。
そうならないように「適切な措置がとられなければならない」といった程度のことしか、日本の証券取引法の条文には、書かれていないのである。
を越えた国家間の協力(「共助」)と憲法これを、既述の刑事司法共助の場合と対比する必要が、あるはずである。
そこで基本とされる双方可罰性の要件は、日本の憲法上保障された基本的人権に十分配慮しつつ、外国からの共助要請に答えてゆくためのものであった。
ところがご証券取引規制の関係では、前記の大蔵省証券局・SEC間の覚書のように、行政当局間で、いわば右の憲法上の要請が、バイパスされ得ることになる。
そして。
そのための制度的保障が十分でないように。
私には思われてならないのである。
日本側からアメリカ側に情報提供をする際、刑事訴追にはそれを用いないよう、SECに釘をさしたとしても、実際にそれがアメリカに渡ってしまったのちの、SECと司法省間の関係を。
それで完全にコントロールできるのか。
そもそもそのような権限かSECにあるのかも問題となる。
やはり正義の実現のために放置し得ない、ということでアメリカ司法省が、日本側から渡った情報をも前提として刑事訴追に踏み切った場合、もはやあとの祭となる。
双方可罰性の要件は、日本側か自国の刑事法を適用しても罰せられるのだ。
ということを確認したヒで共助に応ずる、ということで自国憲法上の要請との緊張関係を、それなりにクリアーするものであった。
右の場合には、そのための十分なプロセスが踏まれていないように、私には思える。
少なくとも、この点が法律上明確になっていない点が、問題だと思われる。
国際的な証券犯罪等の防止のための各国当局間の協力(共助)は重要な要請であるか、もっと私人の人権をダイレクトに尊重してゆくための配慮が、必要なはずである。
国家公務員法一〇〇条との関係他方、公務員の守秘義務との関係もある。
つまり、公務員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない、という規定が国家公務員法一〇〇条にある。
アメリカ等の外国の当局に私人の証券取引関係の情報を渡すことが、証券取引法の規定があるとは言え、右の点からどう評価されるかが問題となる。
私人の取引に関する秘密の情報を大蔵省側か有していたとしても、日本国内でそれを他者に渡すことについては、右の守秘義務の規定で、厳しく規制されている。
ところが、外国の当局にそれを渡すことは別だ、ということになるのかどうか。
租税条約上の情報交換条項に基づく場合には、条約という一般の法律よりも高次の法規範の裏付けがあるが、右の場合はそれと異なる。
私人の人権保障との関係で、前記の証券取引法の規定が必ずしも十分なものとは思われないとすれば、なおさらである。
一体、どこまで突き詰めた議論か、そこでなされているのであろうか。
単純に国家公務員法一〇〇条に対する例外(特則)が証券取引法上定められた、ということで説明がなされ得るのかどうか、そこが気になるのである。
日米税金摩擦とオートーケースところで、こうして各国規制当局間で情報交換のための国際的ネ。
トワークが張りめぐらされてゆくトレントにあるが、当のアメリカは、どのようなスタンスでこの点にのぞんでいるのか。
その点が。
次の問題となる。
つまり、外国側当局から条約(や覚書)ルートで外国にある情報をもらえることになれば、アメリカはもはや自国法の認める措置、つまり一方的に海外にある情報等の提出を求める措置を、とらなくなるのかどうか。
答は、おそらく一般的にも、否である。
具体的には、日米税金摩擦の象徴的事例とされる、いわゆるオート・ヶIスの場合かある。
日本の主要自動車メーカーにつき、日本の親会社とアメリカの子会社間で、既述の国際的な価格操作(移転価格一‐-トランスファー・プライシング)があったとされ、アメリカの課税当局〔IRS両国歳入庁〕)が、日本にある情報の提出を、直接日本の親会社側に求めたのである。
日米租税条約には、日米の課税当局(国税庁とIRS)問で、相互に情報交換をする旨の規定がある。
だか、IRSはそれによることなく、アメリカの法のみに従い、いわば一方的措置として、右の命令を発したのである。
IRSは、日本の親会社がアメリカで起こした訴訟において、アメリカの裁判所に対し、条約ルートで日本側に情報提供を求めても。
時間がかかるし、思うような情報か集まらない。
だから。
自国法に基づき一方的に海外の情報の提出を求めるのだと主張し、アメリカの裁判所は、それを支持した。
実は、同様のことか、アメリカの連邦(合衆国)最高裁においても認められている。
つまり、国際的な摩擦の種として、国際的企業間紛争等において大きな問題となっている点の一つに、アメリカの裁判所で出されるディスカバリ命令の問題かある。
とくに、プレートライアルーディスカバリと言って。
正式の審理手続に入る前の段階で、海外の情報を含めて広汎に、まずそれらを開示せよ。
との命令が出される。
それか。
あまりにも海外の企業への負担になるし、問題でもあるということで、ある多国間条約が作られた。
アメリカはそれを、単純に批准した。
この条約の一つの眼目は。
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